2004年11月18日

天使の梯子<集英社>(村山由佳)

『天使の卵』から10年。愛を失った歩太と夏姫は、再び愛を取り戻すことができるのか。
そして中学の担任教師だった夏姫にどうしようもなく惹かれていく慎一。
傷ついた3人が織りなす切ない愛のドラマ。



<ねえ、そういえば私たち、今いくつ違うんだっけ>
<たぶん、今も昔も八つだと思いますけど>と俺はわざと茶化して言った。
<それがどうしたんスか>
<ううん、どうもしないけど。……そっか>
ふいにうつむいて夏姫さんは額に手をあてた。

<こういう感じだったんだ>



別れがあるから出会いは楽しいといいう人が世の中にはいます。
ですが別れが唐突にそれも最悪のタイミングで訪れてしまったら?
10年という時を経て夏姫はどのような答えを出したのか?歩太は?

決してこの物語をもって『天使の卵』というストーリーが完結したとは思いませんでした。
なぜならアレはアレで歩太と春妃の二人という点においてアレ以上加えることも減らすこともないほど完結してしまっているから。
そういう意味では『天使の梯子』は続編というよりもサイドストーリー的なものといえるかもしれません。
ちょうどBADKIDSの二冊のような関係性なのかも。


少し前に本屋に出かけた際に、『小説すばる』の表紙にこれのことが書いてあってなぜだかショックだった自分を覚えています。
それだけ自分の中で『天使の卵』という小説が大切なのかもしれません。

ということで、あのかなり衝撃的な結末だった『天使の卵』の続編が出版されるということで、個人的にはかなりイヤだったのですが、
読んでみればやはりこの人に限っては続編だからダメになってしまうということもなく、
また前作を見たことのない人でもすんなりと読むことができる作品だと思います。
一応『天使の卵』の続編ということなのですが、それを知らなくても(むしろ知らないほうが)
ヤツは何者なのだろう?、夏姫さんには一体何があったのだろう?と
慎一と同じような視点で多少スリリングに楽しめるかもしれません。


既読者としてはあれから歩太はどうしてきたのか?夏姫は?
というずっと気になっていたことに対して、10年という時を経て解決を表してくれたということに感謝。


ただおそらく書きたかったことのメインが終盤のくだりだったせいなのか、
二人の距離が近づいていくという過程がかなり急だったのがちと残念。
また比較してしまいますが、天使の卵での二人の近づき方が好きだっただけに余計にそう感じました。


村山由佳好きなら文句なしに買いの一冊。
そうでなくても切ない恋愛小説が好きならば、買って損はないです。
といいたいところですが、『天使の卵』とセットで買われるのを推奨します。


誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ



posted by fool at 22:36| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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