「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…“未来予報”。ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう“手を握る泥棒の物語”。他2篇を収録
面白いらしいという評判だけは知っていたけども、今まで読む機会を作らなかった乙一氏の小説。
とりあえず先日、生協で本を何冊か注文した時についでにコレもオーダー。
数ある氏の書物の中からコレにした理由は"いずみ"に載っていたから。
薄いというのもあって読みやすかった。一時間ちょいかな。けっしてものすごく面白かった!といえるわけではない。
さらっと流せるんだけども何かがココロに残るそんな一冊でした。
この本を読んだ感じからすると、この人の本は多分大きく外れという本が少ないんだろう。
そういう意味では宮部みゆきや東野圭吾のような作家さんだと思えばよいのかも。
4つの話の中では『失はれた物語』が好み。
なにかが起きるようでなにも起きず、孤独感や喪失感を感じさせつつもさりげない思いやりも感じられて。
『未来予報』はあそこで終わらずに時間系SFかなんかにしちゃっても面白そうだけどなぁなんて思ったり。
余談ではあるけども、本編よりもあとがきの方が面白かった。
小生は仕事を引き受けなければ良かったと後悔した。もう死んでお詫びをするしかないと思った。缶切りで開けた缶詰がそばにあったら、蓋のぎざぎざの切り口で手首を切っていた。しかし残念ながら缶詰はなく小生は生き延びた。小生、危なかった。
終始こんな調子。
http://booklog.jp/tana.php?ac=imandky
他では暗いところで待ち合わせ、がおすすめです。
映画化もされるらしいですよ。